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派遣医師報告 | バングラデシュ出張報告

2015年度 JBMA派遣医師団報告

(2016年5月21日-5月27日)
東京女子医科大学八千代医療センター形成外科科長・教授
日本・バングラデシュ医療協会理事 (広報担当)
竹内 正樹

日本-バングラデシュ医療協会(JBMA)が支援している医師交流プログラムにより、すでに計7名のバングラデシュ医師が東京女子医科大学病院での研修をおこなっています。日本から医師を派遣し、現地の臨床指導をおこなう第2のミッションを遂行していくため、第2回目のダッカ医科大学形成外科熱傷センター(National Institute of Burn and Plastic Surgery, Dhaka Medical College & Hospital)訪問を2016年5月21日(土) ~26日(木)に行いました
(27日帰国)。

2016年5月21日、東京女子医科大学形成外科講師 (亀田総合病院形成外科部長) の田邊裕美先生、東京女子医科大学病院形成外科の最上真理子先生とともにシンガポール経由で同日深夜にダッカに到着しました。ダッカ・シャージャラル国際空港では、JBMA留学生第1号のDr.Humayraと空港職員の夫、JBMA現地事務局長の Dr.Sheikh Aleemuzzaman の出迎えを受けました。現地でのスケジュールの確認をした後、車で宿泊先のパンパシフィック・ショナルガオン・ダッカ・ホテルへ直行しました。

翌5月22日は、ホテルからダッカ医科大学形成外科へ向かい、Kalam教授Dr.Senらの出迎えを受け、われわれの今回のミッションがスタートしました。
歓待セレモニーの後、渡航前の情報提示により事前に手術症例候補として選定しておいた患者さんの診察をおこないました。先天異常から熱傷後瘢痕拘縮と疾患は多彩であり、診察の後、手術患者の最終決定および手術日程・術式をスタッフと確認しました。

【活動スケジュール】
22日(日) 患者診察、手術:右先天性母指欠損(12歳女児)に対する示指を利用した母指化手術
23日(月) “ Shab-e-barat (シャベバラット)”というイスラム教の断食前のお祭り明けの休日で病院休みのため、ダッカ郊外古都の視察
24日(火) モーニングレクチャー(竹内)、手術:左鼠径部~大腿部の熱傷後瘢痕拘縮(3歳男児)に対する遊離広背筋皮弁移植術
25日(水) モーニングレクチャー(田邊)、手術:交通外傷後の脛骨露出を伴う右下腿潰瘍(35歳男性)に対する遊離前外側大腿皮弁移植術
26日(木) 術後患者処置、手術:膝下部切断後の脛骨露出を伴う左下腿潰瘍(24歳男性)に対する外側上膝動脈穿通枝皮弁移植術


 手術には、バングラデシュ医師数名も助手として参加してくれました。
周りでは研修医を含む多くの医師が熱心に手術を見学していました。
われわれも解剖学的注意点や手術手技のポイントを逐次説明しながら、手術を進めていきました。
手術室の設備として、標準的な形成外科手術器械は、充足しつつある状態ですが、骨や皮膚採取用の電動系器械が不足していました。また糸・針などの消耗品の供給体制の不備や包帯・ガーゼといった衛生材料の質が低いのが現状でした。これらは短期的な物品支援では限界があり、物流システムならびに医療経費をどこで賄うかという保険医療体制の長期的な改善の必要性が痛感されました

また、手術前のモーニング・カンファレンスの時間にレクチャーを行いました。




Kalam教授をはじめ、スタッフ、レジデント(研修医) 40名ほどが集まり、レクチャー終了後、活発な質疑応答がなされました。また、研修医がプレゼンテーションを行った症例検討会では、われわれもコメントを述べさせて頂きました。

 ダッカ医科大学病院形成外科・熱傷センターでは、多くの患者さんが病室のみならず、廊下やエレベーターホールにあふれています。手術を待っている患者さんも多く、形成外科の需要が大きいことを実感しました。実際、われわれも時間の関係で、予定していた手術ができなかった症例もあり、さらなる継続した支援が必要と思われました。

 今回は実働4日間でしたが、現地での医療事情を肌で感じることができましたので、JBMAとしての医療支援体制の課題や問題点なども検討し、今後の支援に役立てたいと思います。
引き続き1~2回/年のペースでJBMA医師団がバングラデシュを訪問する予定です。よろしくお願い申し上げます。 (今回のダッカ滞在に関しては、前回同様、Humayra先生に大変お世話になりました。)

最後になりましたが、今回の渡航に多大なるご支援を賜りましたJBMAの設立会員ならびに施設会員である企業各社および関係者の方々に厚く御礼申し上げます。

2016年5月30日