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派遣医師報告 | バングラデシュ出張報告

2014年度 JBMA派遣医師団報告

東京女子医科大学八千代医療センター形成外科科長・教授
日本・バングラデシュ医療協会理事 (広報担当)
竹内 正樹

日本-バングラデシュ医療協会が支援している医師交流プログラムにより、すでに計4名のバングラデシュ医師が東京女子医科大学病院での研修をおこなっています。さらに今後、日本から医師を派遣し、現地の臨床指導をおこなう第2のミッションを遂行していくため、第1回目のダッカ医科大学形成外科訪問を2015年6月23日~25日に行いました。

2015年6月23日、東京女子医科大学形成外科の長谷川祐樹先生、日本大学形成外科の屋形有美先生とともにシンガポール経由で同日深夜にダッカに到着しました。ダッカ・シャージャラル国際空港では、JBMA留学生第1号のDr.Humayraと同僚のDr.Anwarulの出迎えを受けました。ちょうど我々と入れ違いに日本に一時帰国するJBMA現地事務局長のDr.Sheikh Aleemuzzamanとも空港でお会いし、現地でのスケジュールの確認をしました。その後、車で宿泊先のパンパシフィック・ショナルガオン・ダッカ・ホテルへ直行しました。

翌6月24日は、ホテルからダッカ医科大学形成外科へ向かい、Dr.Senらの出迎えを受けました。40名ほどのスタッフおよび研修医が集まる前で、8時半からレクチャーを約40分間行いました。その後、昼過ぎまで手術用顕微鏡が7台ほどあるMicrosurgical skill labで研修医向けの講習会を開きました。基礎練習を終えて、動物の血管を吻合するアドバンスコースとのことでした。ラットなどは手に入りにくいためか、入手容易なニワトリを使用することには少し驚きましたが、大腿動静脈の径は太く、吸入麻酔と抑制がうまくいけば吻合の練習には良いと思われました。血管吻合のデモンストレーションと指導を行いました。



講習会の合間にDr.Rahmanと翌日の手術患者の選択と病棟回診を行いました。熱傷後瘢痕拘縮患者をリクエストしたところ、日本ではお目にかかれないシビアな拘縮患者が並んでおりました。関節部の拘縮はほとんど関節脱臼、変形を伴っており、熱傷受傷後、病院に来るまでに治療もせず数か月間~数年間そのままになっているようです。おまけに患者が多すぎて、大学病院でも治療が追いついていない様子でした。今後われわれが手術支援を行う余地は十分にありそうです。

訪問した時期は、ちょうど “ラマダン” (イスラム教徒の断食期間) の最中でしたので、昼間は医師、看護師そして患者さんの多くが食事をしない中、我々のために用意してくれたランチBOXをオフィスで食べた後は、Dr.HumayraとDr. Anwarulがダッカ医科大学キャンパス・市内観光に連れていってくれました。しかし、市内は人も車も無秩序の交通事情で渋滞がひどく、渋滞がなければ20~30分くらいで行きそうな距離も2時間以上もかかり、ほとんど狭い車の中にいました。夜は、ダッカ市内の高級レストランへ形成外科スタッフとラマダン明け (その日は18時53分) のディナーに行きました。かつて東京女子医大に留学しており、現在別の病院の教授になったDr.Ashrafも同席してくれました。

6月25日朝は、ダッカ医科大学病院で、外務省医務官の齋木先生にお会いしました。齋木先生には現地医務官としてこれまでJBMAの事業へのご協力など多大なるご尽力を頂きましたが、7月からコンゴに赴任することになり、アルゼンチンから赴任される後任の森田先生との引継ぎを兼ねての病院長および学長への挨拶回りに同行させて頂きました。

病院長のDr.Mohammadおよび学長のDr.Ismailとの面談終了後、形成外科へ行き、前日に行ったマイクロサージャリ―講習会の修了書授与式とJBMAからのギフトである“マイクロサージャリ―器械セット”と“形成外科標準手術器械セット”の贈呈式を行いました。

贈呈式後は、手術室 (Operation Theatre) で昨日選んでおいた膝部熱傷後瘢
痕拘縮患者の手術 (逆行性後大腿筋膜皮弁術) を施行、7月から東京女子医科大学病院に留学予定のDr.Saneatが助手をしてくれました。手術室の設備は、数十年前から使用されている旧式のものが多く、術衣、シーツのみならず包帯もリユースされていました。長谷川先生が日本から持ってきてくれた衛生材料が役立ちました。今後はJBMAから寄付した手術器械が役に立ってくれることを期待します。

手術後は、Dr.Humayraの付添で空港に行き、深夜便でダッカを後にし、シンガポール経由で帰国の途につきました。 (Humayra先生には、大変お世話になりました。)

実質2日間の弾丸ツアーでしたが、まず道筋をつけるための訪問としては役目を果たしたのではないかと思います。今後も引き続き1~2回/年のペースでJBMA医師団がバングラデシュを訪問する予定です。

最後になりましたが、今回の渡航に多大なるご支援を賜りましたJBMAの設立会員ならびに施設会員である企業各社関係者様に厚く御礼申し上げます。

2015年6月30日